売れっ子編集者5人による『真夜中の編集談義』 Produced by小寺メディア戦略室

主催イベントの記事

5名の売れっ子編集者によるオンラインイベントの模様はこちらからご視聴いただけます。生ライブでは1000名の方がご視聴くださいました(^^)

5名の編集者による超豪華「真夜中の編集対談」!!!こんな企画は前代未聞です❗️中盤以降の各編集者のコメントは圧巻です!絶対に観てくださいね✨

小寺メディア戦略室さんの投稿 2020年6月19日金曜日

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☆真夜中の編集者対談要旨☆

【参加者】
小寺裕樹:きずな出版編集長
伊藤直樹:KADOKAWA編集長
上江洲安成:すばる舎編集者
鈴木七沖:なないち代表
大隅元:PHP出版編集者
飯塚裕司:ファシリテーター
はんだあゆみ:ライター(本原稿の執筆者)
※名前をクリックするとSNSに移動します。

【主催】
小寺メディア戦略室(DMMオンラインサロン)

【本編】

飯塚裕司さん
まずは自己紹介からお願いします

小寺裕樹さん
1985年生まれ35歳、2014年きずな出版入社。2017年から編集長になる。書籍編集のみならず、オンラインコンテンツ制作やコミュニティ運営なども手掛ける。

上江洲安成さん
サッカーマニア。すばる社にて初めてビジネス書に出会う。ジャイアントキリング(弱いものが強いものを倒す)のストーリーが好き。めんどくさがりでおちこぼれがちな世間的弱者が、やる気になれる本を作りたいと思っている。

鈴木七沖さん
某出版社を退社し、今はいろんなことを手掛けすぎて肩書がよくわからない。エロとアイドル写真集以外の本はすべて作ってきた。この中では最年長。斎藤一人さんを10年くらい担当していたり、一人の著者さんと長く付き合うことが多い。

大隅元さん
PHP出版の編集者。月間雑誌編集の経験もあり政治・経済に携わってきた。かつて経営者に向けた営業をしていたことあり、経営者を著者にした本を作ったりしてきた。中田あっちゃんの「労働2.0」を世に出した。

伊藤直樹さん
KADOKAWAで今年の四月から編集長を務める38歳。本は気合で作れるが、人のマネジメントは難しすぎてまだまだ極められない。サウナ大好き。でも今はいけないのでストレスが消えない。つらい。

(以下、敬称略)

飯塚:では今日は、サウナに行けないストレスを抱える伊藤さんを癒す会ということで始めましょう。
最初のテーマは「編集者が魅力感じる人(=著者)はどんな人?」

小寺:「教養×異端児」「バランス感×突破力」。ずば抜けた部分があるのは当然大事だが、人生100年時代に長く売れ続けてほしいと思うと、ベースになるものが必要になる。それが教養やバランス感覚。オフェンスもディフェンスもできる人が魅力的。

上江洲:「サービス精神ある狂人」。サービス精神の有無は本の質を左右する。読者に喜んでほしいと思う気持ちと、ある業界で突き抜けていて、その業界の中で「狂ってる」と思われるほど非凡な人。

鈴木:「普遍的(性)である人」。5年10年たっても変わらない、ずっと売れ続けるものを持っている人。不易流行(松尾芭蕉)という言葉で表現されるような、いつまでも変わらないものを持っている人。

大隅:「温厚だけど、ヘンタイ」。なんでこの人、こんなところにこだわるんだろうと思えるほど細かいところにこだわりがあるヘンタイを見ると、どう料理してやろうかと思います。

伊藤:「作家(一緒に戦える人)」。作家がいい理由は文章がうまいから。文章がうまい人がいい。あとは、いろんなところから矢が飛んできたり、中の人から背中を刺されることもあるので、背中を合わせて一緒に戦える人がいい。文章のうまさには二種類ある。
①ロジカルでエビデンスをもとにみんなを納得させてくれる書き方ができる
②ストーリーテリングの面白さ。
読む手が止まらないくらい引き込まれる書き方ができる。どちらか選べと言われたら②をとる。①はリサーチャーに任せることもできるけれど、文章力はどうにもできない。

飯塚:次のお題です。
「今一番気になるメディア。またはSNSはなんですか?」

伊藤:「MIXI」。ウケ狙いです(笑)閉じたコミュニティがこれから来ると思っている。今はオープンすぎるので、逆にクローズドなものから生まれそうな気がする。それは、オンラインサロンかもしれないし、別のプラットフォームかもしれない。西野亮廣さんが、鍵垢のTwitterで閉じたコミュニケーションをするのが面白いという話をされていた。

大隅:「ローカルテレビ&ローカルラジオ」。SNSが広がり続けるのに飽きていく人が増えると思う。著者のプロモーションをローカル局でやってみると面白い反応がある。視聴率90%を超える化け物番組もあるし、その番組がコミュニティを持っていることもある。見てくれる人たちが確実に存在するメディアは強力で面白い。

鈴木:「どのメディアでも『本人の言葉』を持っている」かどうかを見ている。自分の言葉で動画や文章や音声を発信している人は魅力的。本もここで淘汰されていくと思う。活字離れと言われて久しいが、実は活字に密着している。今こそ、言葉が大事。自分の言葉を持っている人が作るコミュニティはおもしろい。

上江洲:YouTube、Twitter、そして「村」。リアルなコミュニティに着目している。リアルな場所を持っている人の方が強い。著者を探す時もSNSなどのメディアより、直接あった人から紹介してもらう方が面白いことが多い。一時情報を大事にする原点回帰が大事。

小寺:「おもいきり古典×先端のSNS」。Twitterとか。コロナの自粛中に「役に立つより意味があることの方が大事」という山口周さんの言葉に触れて、思うところがあった。「ウサギを狩りに行く人は獲物が欲しいからではなく、退屈を持て余しているからだ」というパスカルの言葉も、これに通じる。結局、時代は回るので、17世紀のパスカルが言ってることが、ぐるっと回って今の山口さんと同じ言葉になるのなら、古いものも先端もどちらも抑えてないとダメなんじゃないかと思う。

飯塚:次のテーマです。
「編集者が編集者に質問をするコーナー」です。
何か、編集者に聞きたいことがある人はどうぞ。

伊藤:はい、全員に質問です。鈴木七沖さんが仰られていた不易流行の「変わってはいけないもの、変えてはいけないもの」とは何だと思いますか?

鈴木:「人の営み」。時代が変わっても人の悩みや行動、感情にはあまり変化がないと思う。そこは外さないほうがいいと思う。

上江洲:「優しさ」。言葉は厳しいけど優しい目線で、というのは個人的に心がけています。読む人に対して常に愛情を持っていること。

大隅:「傾聴」。人の意見を聞くこと。これだけ価値観が多様化した世界にいるのに、著者と編集と二人だけでその多様な価値観に立ち向かうのはむつかしい。いろんな人の話を聞いてそれを取り込むこと大事。自分から出てこないものが人から出てくることがあるので、自分でやることにこだわりすぎないようにする。

小寺:「自分なりの信念を持って作り続けること」

飯塚:きれいにまとまったところで次の質問に移りたいと思います。どなたか質問がある方はいらっしゃいますか?

小寺:はい、全員に質問です。スランプの時どうやって抜け出すか?

伊藤:①自分だけが作りたいエゴがあると売れない。②人まね、二番煎じは売れない。最後に決めるのは自分。自分で決めるとPDCAが回せるようになる。失敗も成功も自分のものにすると、検証ができるのでスランプを抜け出せる

鈴木:「情報を断つ」。何が売れているのか毎日本屋でチェックしていた時期があったのだが、それを辞めてみた。もの凄い田舎の本屋や図書館で、地方の皆さんがどんな顔でどんな本を読んでいるのかをリアルに見に行っていた。数字よりもリアルを見に行った。情報断食は三年続けた。今もテレビは見ない。食べ物も情報も、断食すると世界がクリアになる。

大隅:「習慣を変える」。スランプの時は単純に自信がなくなり自己肯定感が下がっているときなので、自分はできるんだという気持ちを持つために、早起きや筋トレなど小さなことでもいいから自分を認められるような行動を習慣にする。

上江洲:①めちゃくちゃはたらく②海に行ってぼーっとする。この2つに共通するのは、「自分を捨てること」。スランプに陥るときは、こだわりすぎて読者の顔が見えなくなっているとき。自分を捨てて人の話を聞いたり、人に乗っかるようにするとパーッと開けることがある。自分から出てこないものが人から出てくることがあるので、まったく仕事に関係ない人の話を聞くなど、自分でやることにこだわりすぎないようにする。

小寺:僕も①めちゃくちゃ働いた、②習慣を変えた(夜型だったのを朝方に変えた)の2つをやった。全部掛け合わせていろいろ実験的に変えてみたら、スランプをぬけていた。情報断食はやってなかった。マジで困ったらやってみようかな。

鈴木:情報断食は効果があった。村上春樹が、物語を深いところにくぐらせると普遍性を得られる的なことを言っていて、自分も、自分の仕事を自分にしかできないものにするためずっと深いところまで潜っていってみたいと思っていた。情報断食後、自分の編集道が変わった実感がある。

飯塚:では最後のお題です。
「本以外のコンテンツでどんなものに可能性を感じているか?」「これからやってみたいこと、やりたいことは何か?」

鈴木:「営み」づくり。生活や場や村など、ヒトの営みに関わることを作ってみたい。いろんなものを「かけあわせる」ことが編集。本だけではなく、いろんなものにその編集力を使ってみたい。

大隅:「老舗のPR」。コロナ禍でつぶれてしまったお店などは、伝え方を知らなかったから。編集できる人がいなかったからだと思う。そこを支えることをやってみたい。

伊藤:「松下村塾」。学びの場を作りたい。そこでのテキストとしての本を作る。吉田松陰みたいな人が増えてくれたらいいなと思う。多くの人たちの助けになるものができたらと思う。

上江洲:「バックトゥザフューチャーみたいなことをやれてしまう、狂人が増えるといいな」と思う。タイムマシンでもドラえもんでも火星探検でも何でもいいのだが、そういうことを真剣にやろうと思う人たちが育つ場を作りたい。

小寺:「この五人で体験の場を作りたい」。コロナで「何万人もがリアルに集まるのは現実的じゃないよね」という風に世界が変わった。今日、出版社の垣根を越えて五人が集まってオンラインでコラボできたこの経験がものすごくぜいたくで面白かった。具体的にこれから、なにを、というのは思いつけないのですが、五人で何かをしたい。

鈴木:この五人で料理はどうでしょうか?

小寺:おもしろい!いいですね。

伊藤:大隅さんは藤井フミヤに似ているので、今度五人で何かすることがあったら、ぜひ、ギターの弾き語りで「TRUE LOVE」を歌ってください。

大隅:出オチになってしまうので勘弁してください。

伊藤:思い付きました。五人で断食をしましょう。

全員:それいいですね!ぜひみんなでやりましょう!