コミュニティを心理学でデザインする運営のやり方

チームづくりの記事

ソーシャルディスタンスという言葉は間違いだと思っています。新型コロナウィルスが流行している今、TVニュースやワイドショーで耳にする「ソーシャルディスタンス」という言葉。

ソーシャル(social)=社会の、社交上のディスタンス(distance)=距離

ソーシャルディスタンスとは「社会的な距離」という意味なのですが、コミュニティデザインをしている僕からするとちょっと違う。と思っています。

スーパーでレジを待つ列。ドラックストアでマスクを買おうと朝からできる長い列。列を作るときに「人と人の間に、意図的に距離を保つ」」ことを「ソーシャルディスタンス」と表現しているわけですが、正しくは「人体と人体の間に、意図的に距離を保つ」ことなので、「フィジカル・ディスタンス」と言う方が正しいと思っています。

さて、本当の意味でのソーシャルディスタンスに関しては、むしろ近くなった相手がたくさんいるんじゃないでしょうか。

コミュニティの関係を良くする心理学を紹介します

ソーシャルディスタンスが近くなったと感じる理由は、「ザイオンス効果」が働いているからです。

ザイオンス効果(別名、単純接触効果)とは、同じ人やモノに接する回数が増えるほど、好印象を持つようになる心理効果です。ですので、外出自粛期間中に、オンライン飲み会をやったり、頻繁に連絡を取り合っていた相手とは距離が近くなっているはずです。

ザイオンス効果の語源・由来は、1968年にアメリカの社会心理学者ロバート・ボレスワフ・ザイオンスさんが広めました(彼はポーランド人のため「ザイオンス」「ザイアンス」と呼ばれたりします)。
ザイオンス効果について、次のような実験がありました。

<実験内容>

  • とある大学生たちを対象に、卒業アルバムの中から1番好印象だった写真を選んでもらう
  • 写真は全部で12枚
  • その12枚ごとに見せる回数を変える(例:写真Aは3回見せる、写真Bは5回見せる、写真Lは25回見せる)
  • 見せる回数は最少1回~最大25回
  • 写真を見せ終わったあとに、好印象を持った写真を選んでもらう

<結果>

  • 多くの学生たちが25回見せた写真を選択する傾向があった

ザイオンス効果は、人間の無意識にも作用することが分かっていまして、自分が接触したことに気づいていなくても、接触回数が多かったものには好印象を抱きやすいという結果が出ています。

  • 電車でよく見かけるあの人
  • SNSでやり取りをするあの人
  • マメな人
  • よく見るあのCM
  • よく聴くあの音楽

こういうものにはザイオンス効果が働いて、好きになりやすい傾向があります。

今回のコロナショックでもっとも距離が縮まったのは「地域の友達同士」だったりします。例えば、うちの奥さんの例でいえば、奥様友達同士で「マスクの販売場所」「子供の学校の事」「コロナ対策の事」などなど1日中LINEでやり取りをしていましたから、かなり親密度が上がりました。

ザイオンス効果をコミュニティで活かす

ザイオンス効果の接触回数の上限は10回と言われています。それ以上は何回接触しても印象はなかなか変わらないようですが、10回までは関係値が成長します。それと、接触する間隔は、月に1回10時間会うよりも、毎日10分会う方が効果が高いと言われています。

これらを踏まえると、SNSをメインツールに使うオンラインコミュニティの運営の中では「コメント返し」がかなり有効な手段になります。相手に好印象を感じてもらうためには接触回数がポイントなので、コメント返しはエンゲージメントを築く絶好の機会なんです。

コメント返しをするために有効な誘導(初級編)

  • 自己紹介
  • 質問
  • アンケート

オンラインサロンではこの3つを上手に使いながら、参加者からあえてコメントをもらうように仕掛けて、接触回数を増やすのがお勧めです。コミュニティを賑やかすにはこのような双方向のやり取りが欠かせません。

自己紹介
入会時には必ず自己紹介をしてもらいましょう。また、定期的にお題を変えて自己紹介をしてもらうのがオススメです。オンラインの場合は、意識をしないとコミュニケーション量が減ってしまうので自己紹介を利用して会話の機会をつくります。

■質問
オンラインサロンやコミュニティでは主宰者がスキルやノウハウを発信する機会が多いと思います。そうなると、投稿に余白がないため参加者もコメントを返しづらいことがよくあります。ですので、定期的にメンバーがコメントをできる投稿を心がけます。

■アンケート
Facebookでオンラインコミュニティを運営する場合はアンケート機能がついているので、これを多用することをオススメします。参加者はアンケートに参加をすると自分事感も強くなるのでお勧めの施策です。

次に中級編をご紹介しておきます。

コメント返しをするために有効な誘導(中級編)

  • 役割を与える
  • イベントをおこなう
  • プロジェクトを仕掛ける

■役割を与える
小学生の頃、日直とか〇○係があったようにメンバーに役割を与えることでコミュニティへの愛着が育ちますし、コミュニケーションの機会が生まれます。主宰者がひとりでゴリゴリまわすのではなく、メンバーと双方向の関係を築きながら関係値を深めていきます。ちなみに、僕はレク係が好きでした。

■イベントをおこなう
イベントを立ち上げるとイベントに向けて接触頻度が高まり、あれこれコミュニケーションが生まれます。そして、熱量が高い状態になります。さらに、集団心理(群集心理)が働いてコミュニティに一体感が生まれますのでコミュニティがいい感じに発酵してきたら自主イベントにチャレンジしてみてください。

■プロジェクトを仕掛ける
イベントと同じ要素を持っています。ただし、こちらは「将来の事業化に向けたプロジェクト」のような大きな目標が設定されると、コミュニケーションも熱量も最高潮になります。さらに、必ずと言っていいほどトラブルが起こるのでストーリーが生まれます。活気あるコミュニティを創るなら事業化プロジェクトは必須です。


いろいろなオンラインコミュニティを見てきて、主宰者とメンバーが1対Nの関係になっているところが多くて残念に思っています。細かな部分ですが、メンバーのコメントに返信をしない主宰者がいたりします。ザイオンス効果の観点では120%返信はすべきですので是非ためしてみてほしいです。

<参考>
 1対Nを解消するために「コミュニティマネージャーのやるべきこと」はこちら
 ↓↓↓

最後までお読みいただきありがとうございました。