コミュニティの会員退会率を下げるリテンション施策

チームづくりの記事

企業では、新卒採用者の3割が3年以内に辞めてしまう現状があります。社員が辞めてしまうと、再雇用のコスト、知識やノウハウの流出、他の社員の流出などの影響があるため、企業にとって大きな問題になっています。

これはコミュニティでも同じでして、コミュニティでは簡単に退会することができるため、最短で翌日に退会する方もいらっしゃいます。

コミュニティの場合は会員の新規獲得も大切ですが、それ以上に「集まってくれたメンバー」を大切にして居続けてもらうことの方が大事になります。

今回はオンラインサロンやコミュニティにおける会員の退会率を下げるための方法について解説していきます。

オンラインサロンにおける退会率

コロナの影響もあって、オンラインサロンに興味を持つ方が増えました。日本最大のオンラインサロンプラットフォームであるDMMオンラインサロンには750を超えるコミュニティが存在しているように、オンラインサロンビジネスはレッドオーシャンになってきてました。ですから、先行者利益はすでに刈り取られてしまったため、オンラインサロン・ドリームは存在しません

多くの方が描いている「西野亮廣さんのようにオンラインサロンで一発当てたい」という想いは、3年前だったらあったと思いますが、今からでは厳しいものがあります。

これからのオンラインサロンにおける正しい戦略は「既存の会員の確保・維持を守る」ことです。コミュニティの主宰者とコミュニティマネージャーは、会員の維持・確保を念頭にしたコミュニティの経営戦略を考える必要があります。

リテンションとは

リテンションとは、人材の流出を防止するための施策のことで、「維持・保持」という意味を持つ言葉です。

そのため、コミュニティでリテンションという言葉を使う時は、「会員の維持・保持」という意味で、会員の「退会の引き止め」施策のことを指します。

リテンションの施策には、

  • 金銭的報酬
  • 非金銭的報酬

の2つがあります。

金銭的報酬には、給与、福利厚生、ストックオプションなどがありますが、これらには限界があります。ですから、企業では金銭や福利厚生以外の魅力を社員に提示できるように非金銭的報酬の改善を進めています。

コミュニティも同様です。コミュニティの場合は、基本的に金銭による報酬がない前提で運営をしているところがほとんどですので、非金銭的報酬の設計を考えていきます

企業やコミュニティが行うリテンション

企業にとって、優秀かつ必要な人材の流出は会社の大きな損失になります。代わりとなる人材の採用にも時間とコストがかかりますので、リテンション施策を検討する企業が増えています。

それでは企業が行っているリテンションの施策を見ていきます。

  • 金銭的報酬の充実(給与、インセンティブ、ストックオプションなど)
  • 充実した就業環境の整備(各種休業制度の充実、希望職種への異動)
  • ワークライフバランスの実現(在宅勤務やフレックス制度の導入)
  • スキルアップ(能力開発、業務に役立つ知的刺激の提供)
  • キャリア形成のサポート
  • 心理的安全性のある職場(開かれた雰囲気、意見を言いやすい環境など)
  • 副業の解禁

このように企業では金銭的報酬以外の満足度を重視する傾向が強まっています。昨今は「ブラック企業」というキーワードが流行し、残業の厳格化などワークライフバランスを意識した動きが目立っていました。今後はコロナの影響もあり、これからは在宅ワークや副業へのニーズがさらに高まると思っています。

では、コミュニティではどのような施策がなされているのでしょうか?

  1. コンテンツの改善
  2. コミュニケーション機会の創出
  3. プロジェクトや案件を差し入れ

コミュニティに参加する人の多くが、会社では得ることができない「スキルアップ」「学び」「挑戦」「仲間づくり」の機会を求めて参加しています。ですから、必然的にリテンションの施策も企業とは異なってきます。

コミュニティには金銭的報酬はありませんから、どれだけ非金銭的報酬を高く設定できるかが大切になります。

コミュニティのリテンション施策を紹介

オンラインサロンに参加する多くの方は、例えば『会社では「人事部」に配属されているが、動画に興味があるので動画を学ぶために「動画コミュニティ」に参加する』というように会社では得ることができない経験値を積むためにオンラインサロンに参加しています。

要するに、コミュニティは「修行の場」であり、「社交場」のような存在なわけです。コミュニティの運営者や、コミュニティマネージャーはこれを理解してサービスを提供する必要があります。それではリテンション施策を具体的に見ていきましょう。

1:コンテンツを改善する

コミュニティに参加する多くの方は、「スキルアップ」「学び」「挑戦」「仲間づくり」を目的に入会してきます。これらが会員のインサイトであり、これを満たすためにコンテンツをてこ入れしていきます。

具体的には、

  • 「スキルアップ」であれば、学びの場と実践の場の両方を用意する
  • 「学び」であれば、主宰者と会員で双方向の学び環境を設計をする
  • 「挑戦」であれば、背中を後押ししたり、手助けをしたり
  • 「仲間づくり」であれば、会員の交流が促進されるイベントを企画したり

などコミュニティの特性を生かしたコンテンツづくりをしていきます。
[注意]
「学び」と言っても、講演会やセミナーのように一方通行では勿体ないです。コミュニティという性質を生かして、「双方向」にしたり、「会員同士の学びの場」をデザインしたりいろいろ工夫できるものです。

2:コミュニケーション機会の創出

リテンションには「毎日1分以上の雑談が効く」ことがわかっています。会社のように毎日通勤して顔を合わせる機会があればそれが理想ですが、コミュニティの場合は事情が違うため工夫を凝らしながらコミュニケーションの機会を創っていきます。

ここでは3つのアイデアを紹介します。

  • 雑談用のスレッドを用意する
  • おはようを言えるスレッドを用意する
  • 毎日実践ができるワークを用意する

です。

おはようを侮るなかれ。コンテンツとしてはなかなか優秀で、ただ「おはよう」を言い合うスレッドなのですが、①コメントのハードルが低いこと、②みんなが仲間の状況を把握できるので、コミュニティの運営状況によってはかなり重宝されています。

それと、ワークであれば私が運営側で参加している「心の筋トレオンラインジム」で行っている『3ほめワーク』はオススメです。自己肯定感を高めるために、1日の自分の行動に○(まる)をつける習慣づくりとして、自分をほめる3つの出来事をシェアしあうスレッドです。

コミュニティマネージャーはコミュニティの状況を踏まえて、このように、会員の参加のハードルを下げつつ、意味のある企画を用意しながらコミュニケーションの機会をつくっていきます

3:プロジェクトや案件を差し入れする

「毎日1分以上の雑談」が効果的なのは前述した通りですが、これを生み出す機会を創るために『プロジェクト』や『イベント』は最適です。

プロジェクトやイベントを起こすと、定期的にミーティングが行われるため必然的にコミュニケーションの機会が増えます。ですから、コミュニティ運営活性化の起爆剤としてプロジェクトやイベントを効果的に活用することをオススメします。

また、サプライズで何かしらの「案件」を差し入れすることも大切です。その案件が非日常的なら尚更Goodです。例えば、「芸能人〇○さんをゲストに招待して、〇○をやります」のような案件は会員が喜びやすいです。

コミュニティの会員退会を予防する方法

コミュニティの運営者は、会員の退会率を下げる為にリテンションの施策を打ちながら予防をします。その施策が効果的ならば良いのですが、いつも上手くいくとは限りません。

退会を予防するために、継続したリテンション施策をやりながら会員の状態を注視し退会リスクを把握することが大切です。ここではFacebookのようなSNSを使ったオンラインコミュニティにおけるリスクの把握方法をお伝えします。

オンラインサロンでコミュニケーションを注視する5つの視点

  • イベントへの参加頻度が落ちていないか
  • コメントがネガティブになっていないか
  • コメントの頻度が落ちていないか
  • いいねの反応が落ちていないか
  • 既読の頻度が落ちていないか

これらを手掛かりに退会リスクを把握しながら、コンテンツにフィードバックをしたり、会員の様子伺いをしながら予防を測ります。

コミュニティ運営の奥の手

多くの会員は主宰者に対して一目置いています。そして、主宰者と近づいたり、相談したり、学びたいと思っているものです。ですから、退会リスクが高まっていたら主宰者が直接DMで様子を伺うことで退会を回避できる場合があります。

前述しましたが、会員がコミュニティに入会した理由の多くは「スキルアップ」「学び」「挑戦」「仲間づくり」ですので、主宰者が会員に寄り添って「スキルアップの支援」や「キャリアアップ支援」「副業支援」など申し出ると効果的です。

規模が大きくなった場合は主宰者がDMをするには限界がありますが、コミュニティマネージャーやメンターらと役割をシェアしながら1on1などができる仕組みづくりをオススメします。

コミュニティ運営の最後の悪あがき

退会に向けて火がついてしまった会員が、退会宣言を撤回することはほとんどありません。しかし、こうなってしまった場合は最後の悪あがきをしましょう。退会宣言を受けたらコミュニティマネージャーは頭を切り替えて、将来に向けてのリテンション効果を求めて「退会理由」を仕入れましょう。

例えば、ある会員に嫌がらせをされたということが分かればその会員を退会させることで今後の退会率は改善されるでしょう。また、それによって出戻り効果も期待できます。円満退会はとても大切です。できるかぎり、退会理由を仕入れて、コミュニティ運営に生かしていきましょう。


今回は退会率を引き留めるための施策についてお話しをしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。