ビジネスコミュニティを開設する前に知っておきたいコミュニティマネージャーの役割とは

コミュニティの記事

今回の記事では、マンガの楽しみを方を広げるオンラインサロン「アル開発室」を運営するアル株式会社でコミュニティマネージャーを務める久間美咲さんのインタビューをもとに、『コミュニティ運営』と『コミュニティマネージャーの役割』について考えていきます。

Salon.jpのサイトから借用しました。

簡単に久間美咲さんの紹介です。

Webサービスやアプリの開発ディレクター職を経て、2013年に株式会社nanapi(現Supership株式会社)に入社。その時の上司が古川健介さん(けんすうさん)。2015年にけんすうさんがコミュニティマネージャーという職種を新設し、その職に就く。その後は、株式会社ソウゾウでプロデューサー、株式会社メルカリでは広報・コミュニティマネージャーを担当。現在はアル株式会社でマンガ情報サービス「アル」のカスタマーエクスペリエンス(CX)を担当されています。

ちなみに、僕は久間さんにお会いしたことはありません。久間さんにも、けんすうさんもお会いしてみたいです(^^)

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは何か?

本題に入る前に、久間美咲さんが行っているカスタマーエクスペリエンスという仕事について簡単に解説します。

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、「顧客体験」を指す言葉で、世界中の企業で実践されつつあります。ここで使っている顧客体験とは、サービス・製品を認識してから購入を検討、購入した場合はそれを使用するという一連の流れのすべてにおける体験のことを意味しています。

例えば、スターバックスコーヒーは店舗を職場でも家庭でもない「サードプレイス(第三の場所)」として位置付けており、商品の販売だけではなくスタッフとのコミュニケーションや店内で流れる音楽を含めて「スターバックス体験」と呼ばれる顧客体験をデザインをしています。

米国のオラクル(ORACLE)社が2011年に発表したCustomer Experience Impact Reportでは、「顧客の89%が不満足なカスタマーエクスペリエンスが原因で他のブランドに乗り換えた経験がある」という回答をしており、カスタマーエクスペリエンスはマーケティングにおける重要な指標であります。

サービスの中心が「コト」であるオンラインサロンやコミュニティの運営では、カスタマーエクスペリエンスはとても重要な指標でして、『カスタマーエクスペリエンがすべて』と言っても言い過ぎではないと思っています。

特にオンラインサロンやコミュニティの運営をビジネスとして実施する場合は、PDCAでカスタマーエクスペリエンの日々改善が不可欠です。

コミュニティマネージャーは、カスタマーエクスペリエンスのアイデアを発想することや、リテンションマネジメント(=退会率を下げる)が大切な役割です。リテンションマネージメントについてはこちらの記事に詳しく書いています。

前置きが長くなりましたが、ここから本題にまいります。

コミュニティを開設する前に知っておきたいコミュニティマネージャーの役割とは

コミュニティマネージャーの業務範囲には明確な定めがなく、運営するコミュニティによって少しずつ役割が異なります。そのような環境であるため、「コミュニティマネージャーの仕事がいまいち分からない。」「どこから手をつけていいか分からない。」という声を聞きます。

リソースに余裕がないベンチャー企業では、「ひとりぼっちコミュニティマネージャー」のように相談相手がいないケースもあるため、この記事を参考にしてもらえたら嬉しいです。

ここでは、久間美咲さんのインタビュー記事をもとに、コミュニティマネージャーの役割を明らかなにしていきます。

その1:コミュニティ運営

有料のオンラインサロンである「アル開発室」の運営。具体的には、10本/週コラムや開発状況を投稿及び、イベント運営をしているそう。※アル開発室の運営方針は、読み物が中心でユーザー同士はあまりコミュニケーションをさせない設計になっているようです。

その2:マーケティング

SNSの運用。例えば、Twitterからサービスへの流入増加や新しいチャネルの検討を行っているそう。コミュニティをビジネスで実施する場合は流入数をKPIとして管理したりします。ちなみに、オンラインサロンはTwitterとの相性が抜群です。

その3:人間関係づくり

オンラインサロン「アル開発室」では、アルとユーザーの人間関係作りを重視しているそうです。最近はセミオープンのSlackのワークスペースでのコミュニティを開始し、コラボ企画のコンテンツを一緒につくっているそう。

その4:初期段階での雰囲気づくり

 最初のコミュニティの雰囲気がその後に影響するので、最初の雰囲気づくりを重要視しているそうです。初心者がコミュニティを運営すると、設計が緩すぎたり、厳しすぎたりしがちです。特に厳しすぎると心理的安全性が低くなってユーザーが受け身になってしまうため、最初の設計は極めて大切です。

その5:コンテンツの相性やバランスをジャッジする

会社のやりたいことや開発チームの思惑が出てきたときに、ユーザーにとって良いことかなのか同じ目線で考える。バランス感を大切にして、どちらかの目線になり過ぎていないことが大事。ユーザーとの懸け橋になることがコミュニティマネージャーの役割。

その6:コミュニティの運営仲間を大切にする

 アルの場合は、マンガのレビューやニュースの執筆を請け負うライターが40名ほどいるため、彼らが「アルのファンでいたい」と思ってもらえる人間関係づくりやコミュニケーションを大切にしているそうです。

ここに挙げた項目は一例ですが、「ポータブルスキル」の領域が多数です。これを踏まえると、優れたコミュニティマネージャーを目指すなら、ポータブルスキルを磨くことが大切です。ポータブルスキルの身につけ方はこちらの記事にまとめています。

久間美咲さんの場合は、コミュニティマネージャーでありながらカスタマーエクスペリエンに軸足があるため、アルが目指すマンガ業界全体を盛り上げるために、「ユーザーと一緒に楽しめる状態を作っていく」ことを重視されているそうです。

コミュニティマネージャーに向いている人とは

複数のコミュニティを運営してきた久間美咲さんが考えるコミュニティマネージャーに向いている人の条件は次の通りです。

  • 熱い想いがある
  • 連絡がマメ
  • 助けを求められる

久間さん曰く、「熱い想いがる」「連絡がマメ」というのは最低限の必須条件。オンラインサロンになると365日24時間オンラインで繋がっている為、マメさは特に大事です。

一方で、うまいコミュニティマネージャーは「間に合わない!」「できない!」「助けて!」と周りに言えて、助けを求めることができる人だそうです。

例えば、イベントの準備が追いつかない時に、「準備が間に合わない」と発信することで、周囲が「じゃぁ、私はこれやりますね」と手伝ってくれたり、それがきっかけで段々と「一緒に作る」ということが馴染むのだそう。完璧な人よりも周囲に助けを求めることで周囲を巻きこめる人はコミュニティマネージャーに向いていると語っています。

周囲を巻きこむコミュニティ運営のテクニック

僕も久間美咲さんが仰る通りだと思っていまして、人生で初めてコミュニティマネージャーをやる人は普通に弱音を吐けたり、ミスがつきものなので周りがカバーしてくれがち。結果的にそれが良かったりするのですが、慣れてくると自分で回そうとしちゃうものです。ですが、それが周囲との接点を奪ってしまってる原因になっている場合もあります。

コミュニティの盛り上がりが乏しいな~と感じたら、メンバーに頼ってみてください。コミュニティマネージャーが勇気をもってあえて手を引いてみることで活気づくコミュニティもあります。実験思考で取り組んでみてください。

コミュニティビジネスをデザインするときのポイント

コミュニティをビジネスで行っている場合は、費用対効果は慎重に吟味する必要があると思っています。コミュニティだからと言って、無尽蔵に時間を費やすわけにはいきません。ですから、運営効率という観点も踏まえてコンテンツ設計が大切になります。

そこで大切になってくるのが「世界観の共有」です。運営とユーザーの間で世界観の共有ができると、「一を聞いて十を知る」関係ができます。ユーザーの満足度を高めるためにも「自律性」はキーワードで、世界観の共有ができると自走するメンバーが増える傾向になります。

ところが、オンラインサロンあるあるですが、オンラインサロンを開設した時に、世界観を持っていない「how(どのように)」「what(何を)」だけのコミュニティがたくさんあります。オンラインサロンも含めてコミュニティ全体に言えるのは「Why(なぜそれをやるのか)」が大切です。オンラインサロンを始める前に、世界観をデザインしておきましょう。

ユーザー同士が身近に感じるコミュニティデザインの仕組み

コロナ禍でキーワードになっている「ソーシャルディスタンス」。コミュニティにおいても適度な距離感をキープすることが大切です。コミュニティにおける適度な距離感とは、「ユーザーの顔が見える(感じられる)」ようにするレベルです。

例えば、「自分以外にもこのサービスを使っている人がいる」と感じると、共感や共通点が生まれやすくなります。

久間美咲さんは、「FAQが充実していて疑問をすぐに解決できる」とか、「使い方紹介としてユーザーさんのインタビュー記事を載せる」これらが有効と仰っています。

他のユーザーの存在を感じることができる距離感をデザインすることでコミュニティの居心地の良さが変わってきますので、コミュニティマネージャーはこれらを意識しながらデザインしてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。